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「フランス/パリ滞在質問箱」に時折割り込んで掲載(第12回)  私書函版「フランス/パリ・子育て雑記」(第12章)

「フランス/パリ滞在質問箱」に時折割り込んで掲載(第12回) 
私書函版「フランス/パリ・子育て雑記」(第12章)

グランゼコール(GRANDES ECOLES)は通称であって、教育法には存在していない

グランゼコール(GRANDES ECOLES、単数ではグランデコ―ルGRANDE ECOLE)を学校・
教育制度から見ておきます。ある信頼すべきサイトには、
Il n'existe aucune définition ni liste officielle des grandes écoles. Les textes législatifs et réglementaires font principalement référence aux grandes écoles au travers des "classes préparatoires aux grandes écoles" et de la Conférence des grandes écoles. Le terme grande école n'est pas employé dans le Code de l'éducation、、、(以下略)

学校教育法やその関連法に「グランゼコ―ル」の定義はない、とあります。定義のない存在です。「グランゼコ―ル」が顔をのぞかせるのは「グランゼコール受験のための準備クラス」(注①)、「グランゼコール評議会」(注②)などを通してです。「グランゼコ―ル」という言葉は、学校教育法(CODE DE L’EDUCATION)では使用されていません。

以上がこのフランス語文の要旨です。

(注①)classes préparatoires aux grandes écoles(CPGE)は、当ブログ「子育て雑記第10章(第10回)」でも少々触れました。通称プレパ(PREPA()。 後章で詳述します。
(注②)Conférence des grandes écoles「グランゼコール評議会」は、この章の後段で触れます。
                 
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 別のサイトにはこうあります。
Une grande école est, selon le ministère de l'Éducation nationale français, un « établissement d’enseignement supérieur qui recrute ses élèves par concours et assure des formations de haut niveau » et se trouve sous la tutelle d'un ministère

フランス教育省よれば、グランデコ―ル(GRANDE ECOLE)は、
1.高等教育機関であり、2.選抜試験(CONCOURS)(注③)によって生徒が募集され、
3.高い水準の教育が与えられ、4.担当省の管理保護下(注④)にある学校。こうなります。

(注③)CONCOURS(コンクール)については前回11章(11回)で触れました。CONCOURS(コンクール)は、フランス語。定員数、定席数を競う選抜試験のこと。
(注④)グランデコ―ル(GRANDE ECOLE)の頂点とされているECOLE POLYTECHNIQUE(エコール・ポリテクニック/1794年創立)は、国防省(MINISTERE DE LA DEFENSE)の管理保護下 (TUTELLE)にあります。ポリテクよりさらに古い1747年創立のECOLE NATIONALE DES PONTS ET CHAUSSEES(エコール・ナショナル・デ・ポン・エ・ショッセ)は環境整備・エネルギー省(略称 MINISTERE DE L’ECOLOGIE)が管理保護(TUTELLE)担当省です。ポンは橋、ショッセは堤防・車道の意。国立土木学校です。

以上から、グランゼコール(GRANDES ECOLES)は、教育法、学校法での存在ではないということです。日本でいう一流校、名門校、難関校のレッテルに近いともいえそうです。日本でのこれらの学校は、世評、予備校や学習塾での評価、入試の偏差値、難易度などからそうしたレッテルを貼られているもので、法的な裏付けはないでしょう。
                        
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グランゼコール(GRANDES ECOLES)を2つのリストから実体として見ていきます。
(1)Conférence des grandes écoles(略称CGE)グランゼコール評議会」という組織があります。
このCGEの登録メンバー校であることです。CGEのメンバー校リストを整理しますと、
 ECOLE D’INGENIEUR (技術系グランゼコール)    167 校
 ECOLE DE COMMERCE / MANAGEMENT        46 校
(商業系・マネージメント系グランゼコール)
 その他(各種の芸術系、建築、教員養成など)       13 校
 フランス国外のグランゼコール                 13  校
  
合計                               239 校

例えば、先述したECOLE POLYTECHNIQUE(エコール・ポリテクニック、ECOLE NATIONALE DES PONTS ET CHAUSSEES(エコール・ナショナル・ゼ・ポン・エ・ショッセ)は、ECOLE D’INGENIEUR (技術系グランゼコール)です。
現大統領エマヌエル・マクロン(EMANNUEL MACRON)さんがコンクールに2度失敗したのはECOLE NORMALE SUPERIEURE(略称ENS)です。パリ校、パリ近郊校、リヨン校の3校があります。
1794創立のパリ校はパリ5区RUE D’ ULMにあることから、ENS ULM、 NORMALE SUP ULM あるいはULMだけでも通っています。マクロンさんが2度入試に失敗したのはULMです。ENS3校は、「その他」枠の「教員養成グラゼコール」でしょう。
同じく、マクロンさんが卒業したENA ( ECOLE NATIONALE D’ADMINISTRATION )=国立行政学院と訳されていますが=はマネージメント系に分類されています。
マクロンさんはIEP DE PARISでも学んでいます。IEPはINSTITUT D’ETUDES POLITIQUES、通称はSCIENCES PO(シアンスポ)です。シアンスポ・パリは「パリ政治学院」と訳されているようです。
IEPは、パリの他にもボルドー(BORDEAUX)、グルノーブル(GRENOBLE)、リール(LILLE)、リヨン(LYON)にもあります。シアンスポ・ボルドー(グルノーブル、リール、リヨン)が通称。CGEのメンバー・リストではマネージメント系に分類。

(2)もう一つ、リストがあります。ECOLE D’INGENIEUR (技術系グランゼコール)についてだけですが、「INGENIEUR(アンジェ二ユール)のDIPLOME(ディプロム・資格証書)を発行できる学校リスト」に載っていること。
これは、第11章(第11回)でも触れました。
JOURNAL OFFICIEL(政府公報、官報)に校名が発表されています。最近では2017年1月26日付け管轄省(TUTELLE DE MINISTERE)令として発表されています。

CONFERENCE DES GRANDES ECOLES(CFE)のメンバー・リストにあるECOLE D’INGENIEUR
と管轄省(TUTELLE DE MINISTERE)令上のECOLE D’INGENIEURリストはほぼ一致すると見ていますが、170校近くあるので、両リストの照合はしていません。

以上のことから、グランゼコールと総称される学校群の内訳は、ECOLE D’INGENIEURが圧倒的に多いということです。ECOLE D’INGENIEURは、技術系、工学系の専門学校です。機械、電気、通信、化学、情報処理、土木建設、地質・資源、航空、先端技術、精密機器、天候、環境、地理・地勢、農業・食品、、、、など専門分野別に網羅されています。日本の大学の工学部、理学部などの各専攻学科を独立させた学校といえましょう。そして国立の学校は、ECOLE NATIONALE(SUPERIEUR) DE XXXXXと称しています。私立(PRIVE)はNATIONALEが付かないでECOLE SUPERIEUR DE XXXXX の校名になります。 XXXXXの箇所にELECTRICITE(電気)、TELECOMUNICATION(通信)、CHIMIE(化学) などの専門分野名が入ります。                          
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ところで、プレパ(前出の注①)の先生たちの見解によりますと、
「歴史的にみれば、ECOLE D’INGENIEURは、ナポレオン三世治下(1850年代-60年代)で急増した。ソルボンヌでの神学や哲学など形而上学からは何も生まれない。座学ではなく実学こそが国力を生む。ECOLE D’INGENIEURは実学の学校。こういう見解です」。
なるほど、と思ったものです。
通説では、ナポレオン三世は、パリを大改造し、金融機関を整備し、鉄道を敷設し、対外政策ではアフリカ・アジア地域で植民地を拡大した、、など富国強兵政策を敷いた皇帝とされていますから、
多分野の技術専門学校の設置を奨励し推進したということになるのでしょう。
それを確認しようと、「フランスの技術教育の歴史」(注⑤)という本をめくってみたのですが、同著には、ナポレオン三世治下にそうしたことがあったという記述はありません。現在に続く伝統があるECOLE D’INGENIEUR、あるいはその前身となる諸校が、この期に集中して設立された事実は見当たりません。もっともらしい説明ですが、虚説といいますか歴史漫談といいますか。
 
(注⑤)Antoine LEON HISTOIRE DE L’EDUCATION TECHNIQUE 1961 Que sais je  
日本語訳 「フランスの技術教育の歴史」 もののべ・たかあき訳 白水社・クセジュ文庫
 
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以上のような情報は、現在ではインターネットで得られます。
これらの総称グランゼコールに、どういう道程、道筋を経て進むのか。
ここに「グランゼコール入学試験のための準備クラス」(classes préparatoires aux grandes écoles(CPGE)、通称プレパが登場します。日本の予備校とは全く異なる性質のものです。
後章で触れていきましょう。



2017年11月15日  記    岡本宏嗣
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