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「フランス/パリ滞在質問箱」に時折割り込んで掲載(第16回)  私書函版「フランス/パリ・子育て雑記」(第16章)

「フランス/パリ滞在質問箱」に時折割り込んで掲載(第16回) 
私書函版「フランス/パリ・子育て雑記」(第16章)

プレパ(PREPA)とは、どういうものか (2)

プレパ(通常は2年制)は日本にはない制度ですから、物珍しい、そして印象深いことがいくつか
あります。
その一つにCOLLE(コル)があります。COLLEは、糊、接着剤のことですが、辞書をを引くと
「学生の隠語(ARGOT SCOLAIRE)、定期的な口頭試問テスト、難問」とあります。
グランゼコールの入学試験にあっては、
(1)) ECRIT(筆記試験)
(2) ORAL (口頭試問)
の二つが課せられます。
グランゼコールの入学試験に限りません。BAC(バカロレア)での「フランス語」試験は、高校2年の年度末6月中・下旬に実施されますが、(1)、(2)の双方があります。
高校3年の年度末6月中・下旬に実施されるBAC本試験では外国語(LANGUE VIVANTE ETRANGERE 略称LV )に(1)(2)が課されています。外国語とは、英語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語、アラブ語、ヘブライ語、、、日本語、中国語、などです。日本語についていえば、日本語を第一外国語( LV I )あるいは第二外国語( LV IINPO)に選択する場合は、(1)(2)があります。第三外国語( LV III )に選択する場合は(2)のみ課される、といった具合です。

さて、プレパに話を戻します。
プレパの2年生では、グランゼコール入学試験での「(2)口頭試問」に備えて訓練が行われます。これがCOLLE(コル)と呼ばれるものです。訓練とはいっても漫然としたものではなく、その場で得点数が当人に通告され、学期末の成績表(BULLETIN DE SCOLAIRE)にも反映されます。
手元に次男が残したCOLLOSCOPEなるものがあります。COLLEとSCOPEの合成語でしょう。
それを見ると、1グールが3人から構成され、グループごとにCOLLEが実施されることがわかります。16グループあるので、次男のクラスの生徒数が48人であることが知れます。
数学、物理、化学、外国語(英語、ドイツ語、アラビア語からの選択)の主要4教科でのCOLLE
が、実施の日時、教室、担当教員を一覧表にしています。16グループ、4教科、日時・教室指定、担当教員の5項目をA4サイズ1枚に凝縮した一覧表なので、まさに虫眼鏡サイズの表です。

当日当刻、指定の教室に3人で赴くことになります。COLLEでの実際の試験担当は、日頃の通常授業での担当教員j自身ではなく、担当教員が依頼する他校プレパからの出張教員であったり、高等研究機関の研究員であったりするようです。
「今、何を勉強していますか」の質問があり、それに準じた試験問題が3人にそれぞれ配られます。いくつかの試験問題があり、それをくじ引きで引かせるCOLLE担当教員もいるといいます。
10分ほどの時間が与えられた後、机を離れて黒板上で解答する展開です。
なお、黒板は仕切り線で3等分されています。

さて、次男から聞いたCOLLEでの衝撃の一幕です。次男のグループではなく、別クラスの3人グループ、MATH  (数学 )でのCOLLEでのことでした。
3人のうちの一人の女子プレパ生が黒板に解答を書いていると、教員が「ハイ、線を引いて、もっと引いて、さらに引いて、、、」。女子プレパ生が黒板の端っこまで線を引いて、限りなくドアに近づいたところで「ハイ、SORTEZ」(出ていきなさい)」。
COLLEでの得点数はその場で通告されるということですから、教室内から追放された場合はどうなのでしょう。ゼロ点なのでしょうね。
その女子プレパ生は、その後どうなったのでしょう。
次男坊いわく「知らないよ。みんな自分のことで精一杯、抗議したり、助けたりする余裕はないんです」。
これが現今の日本であれば、教師のパワハラになるところでしょう。

7-8年前、プレパをテーマに取り上げたルポ番組を見ました。
カメラはLYCEE LAKANAL(リセ・ラカナル)(注 1)のプレパに入り、「プレパ生の生活と意見」
をおさめていました。ORIENTATION(進路指導)の日、指導教官室でORIENTATIONの面接を終えた女子プレパ生が泣きながら出て来たところをカメラがとらえていました。商業系グランゼコール
志望のプレパ生のようでした。「こんな成績じゃ、どこも通らないよ。進路変更した方がいいんじゃない」とでもいわれたのでしょうか。
プレパは怖い、学力ではプレパ進学が可能であっても、あえて進まない生徒も大勢いるようです。 (注 1)LYCEE LAKANAL
(リセ・ラカナル)のPREPA(プレパ)
HAUTES DE SEINE(オート・ド・セーヌ、SCEAUX ( ソオ )市にある名門プレパ。

                      *
さて、COLLEはグランゼコール選抜試験でのORAL (口頭試問)の予行演習でもあります。
ORAL (口頭試問)は、日本ではなじみの薄い試験方式です。日本でいう「面接試験」とは趣を異にします。物理、化学であれば、実際に実験をさせて口述で説明。誤魔化しが効きません。
地方に住む日本人Aさんと滞在許可云々で相談を受けた時のことです。Aさんは、夫人がフランス人で受験期の息子さんがいるとのことでした。日仏ハーフ児です。
その際の余談で、
「息子がポリテクをスベリましてね。スペレックとかいう学校に決まったんです。ポリテクはペーパー試験はパスしたんですが、面接で落とされました」。(注 2)
ポリテクとはECOLE POLYTECHNIQUE(エコール・ポリテクニック)、グランゼコールの頂点にあります。「ペーパーテストは受かったのに、たかが面接で外された」の無念がにじみ出ていました。
僕も日本人のお父さんだからよくわかりますが、この国では、ORAL (口頭試問)は「面接」ではないのです。
「スペレックとかいう学校」には、「聞いたことない学校」という低評価が漂っています。
僕は、にこういい返しました。
「優秀な息子さんじゃないですか。うちの息子には手が届きません。スペレックはポリテクに負けませんよ。ポリテクは防衛省管轄なので、初年度生はドンパチの訓練があり、兵役のようなものです。これを嫌ってあえてスペレックに行く学生もいるのでしょう。 ポリテク生は将校待遇ですから給与が出ますが、卒業後、7-8年は省庁での宮仕え、国家公務員です。お礼奉公みたいなものです。自由が効きません」。
グランゼコールといえば、ポリテクかノルマル・スップ、そしてENAくらいしか思い浮かばないのが
日本人のお父さん相場でしょう。「スペレックとかいう学校」にもなるでしょう。
「スペレックでよかったんじゃないですか。立派なものです」。
こういっても、日本のお父さんの声は弾みませんでしたが。
(注 2)SUPELEC(スペレック) 
ECOLE SUPERIEURE D’ELECTRICITE の略称。1894年設立。電気通信系の名門ECOLE D’INGENIEURS。2015年に改組されて、CENTRALE SUPELECとなっている。
                     *
公立プレパは授業料がありません。無料です。ETA(国)の予算が財源のほとんどで、REGION(地域圏)、企業の拠出などが補助財源です。最近の統計によります。
学生一人当たりの年間予算
大学生           10850  ユーロ
プレパ生          14850  ユーロ
グランゼコール生     16000 ユーロ

大学生より約40%も多いプレパ生の予算が、時折、「不公正」だと社会・教育問題になります。

今回はここまで。もう少し、プレパを続けるかもしれません。

2018年8月31日  記    岡本宏嗣
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