FC2ブログ

「フランス/パリ滞在質問箱」に時折割り込んで掲載(第15回)  私書函版「フランス/パリ・子育て雑記」(第15章)

「フランス/パリ滞在質問箱」に時折割り込んで掲載(第15回) 
私書函版「フランス/パリ・子育て雑記」(第15章)

「暗記もの」

前章14章で触れた「プレパ」については、もう少し書留めておきたいことがありますが、今回は小休止。後章送りとします。

還暦を控えた時期から、暗記ものに凝りだしました。老化呆けへのささやかな抵抗です。
まず、手始めにパリ・メトロ1号線から14号線の全駅を暗記しました。次いで、RER (Réseau Express Régional、首都圏快速鉄道網)のA、B、 C、 D、 Eの5路線。一口にA号線といってもA1からA5まであります。B、 C、 D、E号線も然り。これをなんとか憶え、次はTRAMWAY(路面電車)T1からT4まで。通勤メトロの車内、就寝の際のベッド、、、などで折に触れてブツブツ唱えて憶えました。
交通網の暗記の次は、フランス本土(METROPOLITAINE)の95県(DEPARTEMENT)の県名です。パリの県番号が75であるように01から95までABC順に(一部変則はありますが)県名が並んでいます。
例えば、TVでの地方ニュースです。地方色豊かなイヴェントの紹介、8歳のイザベルが行方不明になり昼夜の捜索が行われている、山火事があった、洪水があった、、、、などの報道には、
それがどの県での出来事か、その県名がニュース画面に必ず入っています。
日本でも「OO県XX市からお伝えしました」があるのと同じことです。

「A」は01のAIN県から12のAVEYRON県までの12県、「B」はマルセイユを県庁所在地とする県番号13のBUCHES-DU-RHONE県のみ。Cは、、、と続けて覚えていきました。75のパリあたりまでなんとか漕ぎ着けましたが、このあたりから、苦しくなってきました。
ABC順に01から95まで暗記しても、その県が「HEXAGONE(六角形))フランス」のどの当たりに位置するのかが分からないのです。
例えば、02のAISNE(エン)県です。県庁所在地はLAON(ラン).これは分かります。パリに漂着した40年ほど前、何でも見てやろうに燃えていた初期、REIMS(ランス)の大聖堂を拝観し、その足でLAON(ラン)の大聖堂にも回りました。「あの辺りだな」の見当が付きます。
ところが、01のAIN(エン)県になるとお手上げです。東か西か、北か南か。     HEXAGONE(六角形)のどの辺りなのか、見当が付きません。息子たちとVACANCESを過ごした、旅行に行った地域はだいたい分かりますが、95県の中で訪問した県の数は知れたものです。
そこで方針転換、22のREGION(地方圏)別に憶えることにしました。(注1)
Aは、ALSACE(アルザス地方、2県)、AQUITAINE(アキテーヌ地方、5県)、AUVERGNE(オーヴェルニュ地方,4県)といった具合にです。
この方式で暗記していくと、どの辺りかの見当がつきます。前出の01AIN県はRHONES-ALPES(ローヌ・アルプ(ス)地方、8県)。8県の中の一県にあるのでした。
こうして、95全県、その県庁所在地をほぼ完璧に憶えました。

(注1)2015-2016年に22のREGION(地方圏)が13のREGION(地方圏)に統合されましたがいささかの影響もありません。例えば。CHAMPAGNE-ARDENNE(シャンパ―ニュ・アルデンヌ地方 4県)、ALSACE(アルザス地方、2県)、LORRAINE(ロレーヌ地方、4県)が統合されてGRAND EST(グラン(デ)エスト地方、10県)に統合されました。こういうことですから、暗記内容はそのまま有効です。変更、修正は生じていません。

こんな暗記ゲームを楽しんでいた時期のことです。こんなハナシが耳に入ってきました。
INALCOの日本語学科だったか、パリ第7大学日本語学科だったか、日本人関係者から耳にしたことです。「日本地理論」でのテスト問題でのことです。(注2)
日本列島の白地図が記されている。白地図には河川だけがチョロチョロとひげ線で書かれている。その河川の名前を書きなさい。
「こんな問題に何の意味があるのか。北海道は石狩川しか知らないし、あとは利根川、信濃川くらい。それをフランス人学生にやらせて、、。まったく無意味な問題」とその関係者は嘆くのでした。
出題は日本地理学専攻のフランス人講師。必修科目か選択科目かは知りません。
これは、暗記ものといってよいでしょう。河川名を暗記していなければ答えようがありません。おそらく、複数の出題があって、その一つだとは思いますが、その日本人の関係者と
同様、僕もこのテスト出題は奇異に感じたものでした。

以下の3つのテーマから一つを選んで論述しなさい。
(1)日本の気候風土の特徴について。
(2)日本の森林率は約70%で世界第三位であることについて。
(3)地震、台風などの風水害と日本人のメンタリティについて。

僕が勝手にイメージする日本地理論でのフランス的問題はこんなところでしょうか。
試験での論述は大きく正面から振ったテーマが選ばれる、そういう印象をもっていました。

(注2)INALCOイナルコの正式名はINSTITUT  NATIONAL DES LANGUES ET CIVILISATIONS  ORIENTALES・国立東洋言語・文化研究所。LANGUES ’Oラングゾー
とも略称されています。


記憶を手繰ってみると、息子が学校の勉強で暗記ものをしていた光景は二つしか覚えていません(よく観察していなかったこともありますが)。いずれも小学校(5年制)高学年、あるいは中学校(4年制)の時期だったでしょう。
一つはフランス古典詩の暗唱テスト。これは第13章に記しました。                  もう一つは、教科は歴史(HISTOIRE)、学習テーマは「フランス革命」。フランス革命暦の暗記です。
VENDEMIAIRE(ヴァンデミエール・ぶどう月)とかGERMINAL(ジェルミナル・芽月)とかTHERMIDOR(テルミドール・熱月)とかの革命暦です。
はるか昔、僕の学生時代、マルクスの「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」は、準必読書の一つでした。結局は読みませんでしたが、「ブリュメール」はよく覚えています。
エミール・ゾラには「ジェルミナル」があり、これも読んではいないのですが、
同名の映画は観ています。GERARD DEPARDIEU(ジェラール・デパルデュ)、RENAUD
(ルノォ)、MIOU-MIOU(ミウ・ミウ)の出演。監督はCLAUDE BERRI(クロード・べリ)。
革命暦は西暦とは全く異なっているので、暗記するしかないでしょう。

僕「革命暦を暗記しているのか。どれどれ見せてごらん」。
次男が手にしていたノートを取り上げた記憶があります。
次男「(日本人の)お父さんには関係ないだろう」とちょっぴり反発した顔があったように見えましたが、次いで、
次男「(テストには)出ないと思うけど一応、憶えておかないと」。
僕「HISTOIRE (歴史)での暗記ものはテスト向きではなさそうだけど、まあ、しっかり覚えておきなさい」

こんな記憶の断片から20年は経っていた時期です。
酔狂にもフランスの95県全県名を暗記したり、「日本地理論」での河川名テストを(ナンセンス)と憤慨していた時期、5-6年前のことだったでしょう。
既に社会人になり、フランス国外で職を得ている次男坊が久々に帰省した時のことです。
「フランスの95県の名前、CHEF-LIEU(県庁所在地)を完全に憶えたよ」と自慢したのでした。
次男坊いわく「フランスの県の名前は、ほとんどが川の名前だよ。FLEUVE,かRIVIEREの名前だよ」
一瞬、ゴツンと頭を殴られたような衝撃を受けました。瞬時に口に出のは、
「モンペリエ(MONTPELLIER)のあるエロォ(HERAULT)も川の名前かね?」
「川の名前だよ。忘れたの? 駅前から市民バスに乗って鍾乳洞に行ったでしょ。
ゴルジュ・エロォ(GORGES DE L’HERAULTエロォ峡谷)の鍾乳洞。
それから、PONT DU DIABLE(悪魔橋)の上から僕の虫歯を投げたでしょ。
あれがエロォ(HERAULT)川」。
そうでした、そうでした。歯医者で引っこ抜かれた虫歯を母親がお守りのように保存していたのを、PONT DU DIABLE(悪魔橋)からエロォ(HERAULT)川に投げ捨てたのでした。
さよなら、虫歯クン。一種の儀式でした。

指摘されてみれば誠にその通り。県名のほとんどにその県を流れる河川名が付いています。
SEINE(セーヌ)が付く県は4県。
SEINE-MARITIME(セーヌ・マリティム)県、県庁所在地はROUEN(ルーアン)。
SEINE -ET-MARNE(セーヌ・エ・マルヌ)県、同MELUN(ムラン)。
HAUTS-DE-SEINE(オー・ド・セーヌ)県、同NANTERRE(ナンテール)。
SEINE-ST-DENIS(セーヌ・サン・ドニ)県、同BOBIGNY(ボビニー)。
もう一つ、よく知られた河川にロワールがあります。
LOIRE(ロワール)はFLEUVE(海に注ぐ大河)。6県。
LOIR(ロワール)はRIVIERE(川、支流)。LOIRが付く県は2県。
2県とも、もう一つの川が流れています。EURE ET LOIR(ユール・エ・ロワール)県。CHARTRES(シャルトル)が県庁所在地。LOIR ET CHER(ロワール・エ・シェール)県。BLOIS(ブロワ)が県庁所在地。

長男はNANCY(ナンシー)のGRANDE ECOLE( D’INGENIEURE)を卒業しました。NANCY(ナンシー)はMEURTHE-ET―MOSELLE(ムルト・エ・モゼル)県の県庁所在地です。ムルト川とモゼル川が流れているのでしょう。
次男はSTRASBOURG(ストラスブール)のGRANDE ECOLE( D’INGENIEURE)でした。BAS-RHIN(バ・ラン)県です。日本語にすれば「下ライン河」県でしょう。
隣県HAUT-RHIN(オー・ラン)のCOLMAR(コルマール)にアルザス成城学園
がありました。HAUT-RHIN(オー・ラン)は「上ライン河」県でしょう。

「フランスの県の名前は、ほとんどが川の名前だよ。FLEUVE,かRIVIEREの名前だよ」
この指摘で思い出したことがあります。
HEXAGONE(六角形))のフランス地形定規です。2定規で一組み。一つは、95県とCHEF-LIEU,(県庁所在市)を配置したもの。もう一つは、河川のみを配置した定規です。
息子たちは小・中学期にこの定規を使っていたことを思い出したのです。
折に触れて家宅捜査したのですが出て来ません。スーパーの文具コーナーにもありません。SAINT MICHEL(サン・ミッシェル)の書籍・文具専門店GIBERT JEUNE(ジベール・ジュンヌ)で見つけることができました。2定規一セットで8ユーロぐらいでしたか。今、手元には2セットあります。
もう一つ。前述の「日本地理論」でのテスト問題です。
日本列島の白地図に河川がチョロチョロとひげ線で書かれている。「その河川名を書きなさい。」
この出題の「謎(?)」も解けたのでした。

2018年8月7日  記    岡本 宏嗣
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

okamotohirotsugu

Author:okamotohirotsugu
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR